1.研究事業名・研究種目・課題番号:
科学研究費助成事業・基盤研究(C)・19K02497
2.研究課題名:
SDGsを目指した持続可能な地域の形成条件とESD評価方法に関する実証研究
3.補助事業期間:
令和元年度~令和3年度(ただし、コロナ禍のため令和5年度まで再延長)
4.研究組織:
研究代表者:湯本 浩之(宇都宮大学)
研究分担者:田中 治彦(上智大学、令和2年度から研究協力者)
岩本 泰(東海大学)
二ノ宮リム さち(東海大学)
荻村 亮吾(東京大学、令和5年度から日本女子大学)
研究協力者:近藤 牧子
5.交付決定額:
4,290,000円(うち直接経費:3,300,000円 間接経費:990,000円)
6.研究目的・研究方法:
<概要>
国連の提唱する持続可能な開発目標(SDGs)の国内での実現にあたっては、地域の社会条件の分析や包括的教育体制の構築、評価のための指標の検討等の課題が存在する。
これらの課題を受け、本研究は地域の持続可能性を高めるための教育の役割とその評価方法を明らかにする。研究方法は(1)ESDやSDGsに関して、先進的取り組みを行ってきた地域の事例分析により、地域の持続可能性を高める教育のあり方に関する理論化を図り、(2)ESDに関する取り組みの成果を測定するための、活用可能な指標を提案するものである。本研究の目的が達成されることで、各地域・自治体が持続可能な地域の形成という目標を達成するための教育分野の取り組み指針や、国内の文脈に合わせた評価指標を提案できる。
<本文>
1)本研究の学術的背景、研究課題の核心をなす学術的「問い」
2002年の第2回地球サミットでの合意を受けて、2005年から持続可能な開発のための教育(以下 ESD)の推進のための国連の10年(DESD)が実施され、現在ではその後継事業であるグローバル・アクション・プログラム(GAP)が展開中である。また2015年に国連で採択された持続可能な開発目標(以下 SDGs)は、社会・経済・環境の持続可能性を重視した世代間公正や世代内公正を基本理念としながら、その実現に向けた教育としてのESDが強調されている。日本でもSDGsの実施指針のほか、ESDの国内実施計画が策定され、関係省庁をはじめ企業や教育機関、市民社会や地域社会等との協働による取り組みが始まっている。
申請者らはこれらの国内外の動向を鑑み、開発教育・環境教育・社会教育の各研究領域で、ESDやSDGsの考え方を学校教育や社会教育、高等教育の現場で普及し、市民社会組織の活性化や、効果的なプログラム、活動の担い手育成に関する研究を進めてきた。
しかし、これらの研究にもかかわらず、自治体や地域社会レベルでは、ESDやSDGsに関する具体的な取り組みが十分に進まない状況がある。この理由は3つにまとめられる。第1に、社会・環境・経済という3つの持続可能性を高める上で重要となる社会関係資本(Social Capital)等の地域の社会条件の分析が不十分なことである。例えば、2018年に内閣府で認定されたSDGs未来都市の取り組み内容を見ると、環境面への配慮や、持続可能な都市経営、産官学民の連携等の内容が掲げられている一方で、社会・環境・経済の取り組みを円滑に動かす地域の社会条件への関心やその担い手となる組織や市民の育成という観点が希薄である。
第2に、持続可能な地域の形成に向けた、学校外教育をも含む包括的な教育体制の構築が課題である。ESDに関しては、文部科学省のユネスコスクールや、環境省が中心となったRCE等の施策が進められてきたが、学校教育・高等教育分野での取り組みに比べると、社会教育の役割や、市民社会組織が果たすべき教育・学習機能への注目が少ない。
第3に、ESDの進捗状況を測るための国際的指標にも課題が多い。例えば、SDGの達成状況を評価する指標は多岐にわたるが、そのうち、教育分野の目標4に関するユネスコの“Global Indicators for SDG 4”といった指標にも計測の難しい抽象的な項目が多い。これらの指標を、国内の各地域で活用できる形に組み替えていく必要がある。
以上の課題を踏まえ、本研究は開発教育・環境教育・社会教育の知見や研究方法を活かし、「地域の持続可能性を高める教育の役割とその評価方法とは何か」という問いの解決を図る。
2)本研究の目的および学術的独自性と創造性
本研究の目的は、地域の持続可能性を高める教育の役割とその評価方法を明らかにすることにある。具体的には(1)ESDやSDGsに関して、先進的取り組みを行ってきた地域の事例分析により、地域の持続可能性を高める教育のあり方に関する理論化を図り、この結果を受けて、(2)ESDに関する取り組みの成果を測定するための、活用可能な指標を提案する。
本研究の学術的独自性と創造性は3点にまとめられる。第1に、持続可能性を高める教育のあり方をミクロな実践からマクロな政策レベルまで、横断的に分析する研究方法である。これは、担い手の育成やプログラム開発に優れた開発教育学、学校教育・学校外教育における持続可能性を問う環境教育学、教育政策や地域の実践分析を研究手法とする社会教育学の協力によりなされる。第2に、先進事例の分析から、持続可能な地域という目標を各地域・自治体で達成するための取り組み指針を示す、自治体政策における有用性の高さである。第3に、国際レベルで提起されているSDGs等に関する指標を精査し、国内の文脈に適応した形で改善を行うグローバルな動向とローカルな文脈とを双方につなごうとする研究姿勢である。
(3)本研究で何をどのように、どこまで明らかにしようとするのか
本研究は右の図に示すように、【研究Ⅰ】国際的な指標と先行研究の検討、【研究Ⅱ】先進事例の調査、【研究Ⅲ】調査結果の分析とモデル提示、【研究Ⅳ】新規指標の提案の4つの研究で構成される。
研究は、代表者(湯本)と分担者4名(田中、二ノ宮、岩本、荻野)、研究協力者(近藤牧子=早大非常勤と、その他自治体における協力者)がチームを組んで遂行する。

【研究Ⅰ】 国際的な指標と先行研究の検討(平成31年度上半期)
まず、【研究Ⅱ】を進めるにあたり、既存の指標と先行研究レビューにより、事例調査の枠組みを設定する。具体的には、SDGsに関する国際的指標だけでなく、ノンフォーマル教育の領域で策定された指標についても収集・整理し(2009年のBelem Framework for Action 等)、地域の持続可能性の評価指標として、事例研究に応用できるように体系化する。同時に、地域の持続可能性を高めるための教育に関して、開発教育・環境教育・社会教育・高等教育領域におけるESDやSDGs研究のシステマティック・レビューを行う。
【研究Ⅱ】 先進事例の調査(平成31年度下半期〜平成32年度)
次に、地域の持続可能性を高める教育のあり方を検討するために、先進事例の調査を実施する。調査方法は、自治体の担当部局、NPO等の市民社会組織、学校や社会教育施設(公民館等)に対して、現在の状況だけでなく、ESDやSDGsに関するこれまでの取り組み状況への回顧的な質問も含む、半構造化面接調査を行うものである。質問項目は、①自治体施策と推進体制、②各地域の特性(市民社会組織の活動や、社会関係資本の状況等)、③学校教育・社会教育に関する取り組みの状況、④ESD・SDGsの到達点と課題といったことを想定している。
事例研究は、ESDに関する先進的な取り組みを行い、SDGsに関しても継続的に取り組みを進める4つ程度の自治体を対象とする。都市部と地方部のバランスと、それぞれの取り組みの特徴を鑑みて、下記のA) 〜D)の4つの自治体を想定している。調査実際の際には、〈 〉内の研究協力者のネットワークを通して調査依頼を行う。
A) 札幌市(地方都市):市民活動団体による学習支援が活発であり、中間支援組織の活動も充実している。〈小泉雅弘氏(さっぽろ自由学校「遊」事務局長)〉
B) 板橋区(都市部):ESDに関する市民活動が充実し、社会教育会館との現場レベ ルの連携も良好である。〈加藤勉氏(NPO法人みんなのたすけあいセンターいたばし代表)〉
C) 岡山市(地方都市):RCEやSDGs未来都市の指定を受け、公民館を拠点としたESDを積極的に推進している。〈内田光俊氏(岡山市生涯学習課)〉
D) 那覇市(地方部):地域社会に密着した、自然環境を活かしたボトムアップ型の学習環境づくりを進めている。〈大島順子氏(琉球大学)〉
【研究Ⅲ】 調査結果の分析とモデル提示(平成33年度)
【研究Ⅱ】の内容について、KJ法、M-GTA等の定性的な分析手法や、質的比較分析(QCA)により、持続可能な地域の形成を進展させるための教育要素を抽出し体系化を図る。この整理で、自治体施策の特徴や、官民の関係づくりの進め方、市民社会組織における担い手の力量形成の方法、学校教育・社会教育における効果的なプログラム等が明らかにされる。
なお【研究Ⅲ】は、自治体や市民社会組織の研究協力者と対話しながら進める。各事例をまとめたケースレポートを作成した上で、研究協力者を交えた検討会を開き、事例の特徴について理解を深める。この過程を経て、持続可能な地域の形成に重要な教育要素について、マクロ・ミクロレベル、社会・環境・経済との関連により整理したマニュアルを刊行する。
【研究Ⅳ】 新規指標の提案(平成33年度)
さらに【研究Ⅰ】で検討した国際的指標に関して、【研究Ⅱ】の事例分析で有効であった指標の抽出と構造化を行い、ESDを評価するための指標の提案を行う。指標選定の基準は、 地域特性に合わせて効果的な指標であること(重要性)、測定や経年比較が容易であること(測定可能性)等を重視し、社会・環境・経済の持続可能性に関するバランスも意識する。
7.本研究の着想に至った経緯など:
1)本研究の着想に至った経緯と準備状況
(1)本研究の着想に至った経緯と準備状況
申請者らは、ESDやSDGsに関する開発教育・環境教育・社会教育領域での研究を進めてきた。代表者の湯本と分担者の田中、研究協力者の近藤は、開発教育の研究と実践の中で、グローバルな問題とローカルな学習をつなぐための学習プログラムの提案や、ファシリテーターの養成に取り組んできた。これらの研究成果に基づき、SDGsやESDに関する学習を推進する上で、地域の教育組織や自治体政策の分析が重要となることに気がついた。
分担者の二ノ宮と岩本は、環境教育とESDとの関係や大学と地域とが連携したESDプログラムの推進等、環境教育分野におけるESD研究を進めてきた。これらの研究を遂行する中で、環境教育分野が重視する生態学的な持続可能性だけでなく、社会的・経済的な持続可能性や、世代間および世代内の公正を含む、包括的な地域分析が重要であることに気がついた。この視点をもって、その後の開発教育学や社会教育学との共同研究に参加することとなった。
これらの課題意識に基づき、代表者と分担者は、2011年に開始された日本社会教育学会のプロジェクト研究「社会教育としてのESD」に参加し、1-2ヶ月に1度程度、共同研究の機会を持つことになった。この研究では、開発教育・環境教育・社会教育の研究視角と方法の相違点、行政・市民社会組織・大学等のESDに関わる社会的アクターの役割、ESDを推進するファシリテーターの養成に関する検討を進めてきた。計4年間のプロジェクトを通して、ESDの推進に関して、各地域における社会的アクターの教育機能を引き出す連携体制の構築や、ESDの取り組みを評価するための共通の枠組みを設定することが重要な研究課題となることを示した。これらの課題意識は本研究の中核をなすものである。
さらに、その後の国際的なSDGsの推進に合わせ、代表者・分担者は「SDGsと社会教育」に関する共同研究を継続してきた。この共同研究の中で、先進事例の比較分析を行うことで、SDGsに関する取り組みを充実させる教育要素を明らかにするという着想を得るに至った。
2)関連する国内外の研究動向と本研究の位置づけ
本研究は、SDGs研究の1つに位置づけられる。日本におけるSDGs研究は、現段階では国連で提唱された理念の紹介に留まるものが多く、申請者らが関わった『SDGsと開発教育』(学文社、2014年)や『SDGsと環境教育』(学文社、2017年)等の研究を除いて、日本の文脈に応じて、SDGsの理念を実現していく具体的な方法や課題を明らかにした研究は少ない。
また、人口減少や少子高齢化という社会構造の変化により、経済学・社会学・都市政策等の各領域で、本研究で取り組む持続可能な地域の形成に関する研究関心は高まっている。しかし、社会・環境・経済の全ての分野の持続可能性の向上や、取り組みを進めるための組織や担い手の育成に関する研究は少ない。申請者らが関わってきた、開発教育・環境教育・社会教育の各分野におけるESD研究の知見は、この研究課題の解決に役立てることができる。
教育分野でのESD研究は、本研究と非常に強い関連を持つが、個々の実践やプログラム、組織の分析が中心で、地域の持続可能性を高める教育のあり方を検討した研究は少ない。
本研究はこれらの関連研究の課題を乗り越えようとするものである。
8.応募者の研究遂行能力および研究環境:
1)これまでの研究活動
研究代表者の湯本、分担者の田中、研究協力者の近藤は、開発教育分野の研究と実践を主導してきた。特に、2000年代後半から、国際的なESDに関する状況を押さえた上で、国内での実現可能性を理論的に検討し、「世界の開発問題=私たちの地域問題という一体的視点に立った地域づくりと連動した開発教育の未来像」(近藤ほか編(2008)『地域から描くこれからの開発教育』新評論)やESDの学習に関する「地域を掘り下げ、世界とつながるカリキュラム」(ESDカリキュラム研究会編(2010)『開発教育で実践するESDカリキュラム』学文社)を提起しているほか、ESDのプログラム開発やネットワークの組織化を進めてきた(田中ほか編(2014)『多文化共生社会におけるESD・市民教育』上智大学出版、認定NPO法人開発教育協会(DEAR)の活動等)。さらに国内でいち早くSDGsの理念を紹介し、開発教育の内容や方法
に引きつけて、貧困・紛争・災害・ジェンダー等の各領域の取り組みをまとめ、SDGsの基本にある公正や共生、平和や人権の理念を提起している(田中・湯本ほか編(2016)『SDGsと開発教育:持続可能な開発目標のための学び』学文社;湯本ほか編(2017)『グローバル時代の「開発」を考える』明石書店)。このようなESDやSDGsに関する開発教育分野での研究の蓄積は、本研究でも、グローバルな文脈とローカルな実践とを結びつける研究方法や、地域におけるプログラム開発や人材育成の方法の評価に活かされる。
分担者の二ノ宮、岩本、田中は、環境教育分野におけるESD研究を進めてきた。例えば、『環境教育とESD』(東洋館出版社、2014年)や、『SDGsと環境教育』(学文社、2017年)において、従来の環境教育をESDとして高め、SDGsに対して環境教育が貢献できる方法を検討してきた。また、国連「持続可能な開発のための10年」(DESD)における研究・実践両面の到達点と課題を整理した研究レビューも行っている(二ノ宮ほか(2015)「国連・持続可能な開発のための教育の10年(DESD)を通じた国内の環境教育研究・実践における成果と今後の課題」『環境教育』24(3))。さらに、高等教育機関におけるESD推進に関わり、地域と連携した体験型教育や、実践評価も進めている(二ノ宮「大学教育における「対話」:持続可能でレジリアントな社会を創る市民育成の視点から」、科研費若手研究、H30-)。以上の理論的・実践的
な研究背景から、環境教育におけるESD・SDGsの知見を活かして、国内の実践評価や新規指標の開発を行うことが可能であると考えられる。
分担者の荻野は、社会教育分野において、地域活動への参加を通した社会関係資本の醸成過程の研究を進めてきた(荻野「生涯学習を通じたコミュニティ・エンパワメントモデルの開発」、科研費若手研究B、H25-27)。この研究の基盤の上で、地方財政学者との共同研究により、長野県飯田市における再生可能エネルギー条例導入後のガバナンスと社会関係資本の変化に関する研究等、環境・社会・経済面で持続可能な地域に関する事例研究を進めている(荻野ほか(2018)「再エネ条例施行後におけるエネルギー自治の展開:長野県飯田市を事例として」諸富徹編『入門地域付加価値創造分析』日本評論社(近刊))。これらの研究を通して身につけた、事例研究の調査設計や比較事例分析の手法が、本研究の推進にも役立てられる。
これらの各領域における研究状況に加えて、代表者と分担者は、ESDやSDGsに関する共同の研究プロジェクトを遂行する中で、研究視角や情報の共有を進めてきた。例えばDESDに合わせて設けられた、2011年〜2014年における日本社会教育学会のプロジェクト研究「社会教育としてのESD」において、代表者と分担者は中心的役割を果たし、その取りまとめとなる学会誌にも研究成果を寄稿した(日本社会教育学会編(2015)『社会教育としてのESD:持続可能な地域をつくる』東洋館出版社)。これを受け、環境教育と開発教育の接点を明らかにし、2つの研究領域を統合する可能性を示唆する研究書もまとめている(田中ほか編(2014)『環境教育と開発教育』筑波書房)。
これらの各領域での研究や領域を超えた共同研究の基盤の上で、ESDからSDGsへの国際的な展開を見据えて、2016年より日本社会教育学会の研究大会の折に、年2回「SDGsと社会教育」に関する公開研究会を開催している。2018年10月の申請時点で、計5回の研究会を開催した。このような共同研究の蓄積により、本研究の研究視角が形成されただけでなく、板橋区・那覇市等、今回の事例研究の対象ともなるフィールド関係者との信頼関係の形成を行うことにも成功している。
2)研究環境(研究遂行に必要な研究施設・設備・研究資料等を含む)
今回の研究対象とする札幌市・板橋区・岡山市・那覇市については、これまで数年間の研究の中で、基礎情報やデータを収集・整理できており、行政部局の担当者や市民社会組織の職員との関係も良好である。研究協力者との関係については、代表者・分担者が理事を務める認定NPO法人開発教育協会での活動(さっぽろ自由学校「遊」事務局長・小泉氏)、日本社会教育学会でのプロジェクトでの共同研究(岡山市生涯学習課・内田氏)、同じく社会教育学会での公開研究会での発表(板橋区NPO法人みんなのたすけあいセンターいたばし・加藤氏、琉球大学・大島氏)を経て、本研究につながる研究視角を共有できている。このため、本研究の中核となる地域の事例分析にすぐに着手できる状況にある。
また、本研究の代表者と分担者それぞれが持つ、ESDやSDGsに関する情報や、国内外のネットワークにより、研究レビューや国際的指標の検討についてもすぐに着手できる。開発教育分野の研究状況については、湯本・田中・近藤が理事を務める、認定NPO法人開発教育協会の発行する雑誌『開発教育』での特集を含め、すぐに研究レビューを行える状況にある。また、環境教育分野に関しては二ノ宮と岩本が、社会教育分野に関しては荻野がESDに関する研究レビューを行っており、SDGsに関する研究レビューの基礎はできている。また、代表者の湯本は国際教育を専門とし、欧州の開発教育やグローバル教育をはじめ、国際機関によるESDやSDGsに関する動向に精通し、研究協力者の近藤もノンフォーマル教育の国際的動向に関する継続的なフォローアップを行っている。このように、ESDやSDGsに関する関連指標の検討を行うに当たっても十分な体制づくりができている。
さらに、代表者・分担者が所属する各研究機関(宇都宮大・上智大・東海大・東京大)の研究施設・設備・研究資料等も充実しており、大学内部でも、ESDやSDGsに関心を持つ、他分野の研究者から研究上の示唆を得られやすい良好な研究環境にある。
9.人権の保護及び法令等の遵守への対応
本研究は、申請者らの所属する各大学の研究倫理審査委員会の承認を得て実施する。
事例研究におけるインタビュー調査の対象者は、地域住民、行政関係者、市民社会組織の職員等である。地域住民に対しては、研究目的や方法、プライバシーの保護、拒否の権利について文書及び口頭にて説明を行い、同意書を得る。行政関係者や職員等に対しても、インタビュー項目が業務上知り得た情報に及ぶため、同様の配慮を行う。
インタビュー調査や参与観察の記録については、(1)事前に対象者に承諾を得た上でデータを音声メディアに録音し、(2)録音されたデータは、申請者の責任のもと、厳重な管理と文字化を行う。音声データは必要のない限りは迅速に消去する。さらに、(3)観察・インタビュー記録を論文・報告書等に用いる際には、必ず事前に参加者・対象者による内容の確認と承諾を得た上で、(4)公表の際には、参加者・対象者の匿名性を保持することに努める。
以上、「研究計画調書」(2018年10月作成)より転載。
10.連絡先:
本プロジェクトに関するお問合せは、以下までご連絡ください。
alesdgs2030※gmail.com(※を@に変換)